妊娠と糖尿病の関係

妊娠というのは非常に喜ばしいことである反面、生物学の面でみると自分の種を次世代に残す行為です。体質の変化というのは自分の意思でコントロールできるものではありません。太古の昔より遺伝子に残されている記憶によってなされるものです。

ですので、ここは妊娠と糖尿病の原因と対策を生物学的な観点からわかりやすく解説していきます。



■着床

精子と卵子が結合すると受精卵となり、これが子宮内膜に接することで胎盤を生成することを着床といいます。


■胎盤の役割

胎盤は一言で言えば胎児と母体をつなぐホースです。通常、体内であっても血管が通っていない部分には酸素や栄養は送られません。血管があって初めてこれらが供給されるのです。

受精卵は一つの細胞ですが、受精卵単体では酸素や栄養は補給することができません。つまり何も出来ない受精卵に血管を通してあげるために作られた組織が胎盤なのです。

受精卵にとっては胎盤は酸素を供給するための肺であり、栄養を供給するための胃や腸であり、老廃物を処理するための腎臓なのです。


■胎盤のホルモン分泌

通常妊娠する前は、ホルモン分泌は脳の視床下部など、決まった部位から分泌されます。しかし、胎盤が形成されるとこの形成された胎盤からもホルモン分泌がなされるようになります。

後天的に作られた胎盤から重要なホルモンが分泌される理由は、ひとえに生物の種の保存という遺伝子記憶によるものです。つまり、胎盤は後天的な部位であるにもかかわらず、母体と胎児に影響を与えるホルモンを生成するのです。


さて、妊婦糖尿病になる原因ですが、それは胎盤が生成するホルモン分泌によるのです。


その前に・・・

糖尿病とは体内のインシュリンというホルモンの分泌異常によってかかる病気です。インスリンは体内の血糖値を減少させるホルモンです。

インスリンの役割

生物は食べ物を食べると体内で分解を始め、様々な栄養素に変換します。そのうちのひとつにブドウ糖があります。ブドウ糖は体内の様々な器官のエネルギーとして非常に重要な栄養素です。

ブドウ糖が減少すると、体内のブドウ糖の値が下がり(血糖値が下がる)脳は肝臓に「エネルギーを供給しろ!!」と指令を出します。これが『お腹がすく』という現象です。

お腹がすくと生物は食べ物を食べ、体内にブドウ糖で満たします。そうなると体内にエネルギーが補充さえ、インシュリンが体内の血糖値を下げるようになります。と同時に「エネルギー供給ストップ!!」という指令が脳から下されます。


では、仮にインスリンの働きが鈍った場合どうなるでしょうか?

インスリンが体内の血糖値を下げることをしないので、脳はいつまで経っても「エネルギー供給ストップ!!」の指令を出さないようになります。

そうするとどんどん食べるようになり、満腹感で満たされることはなくなるのです。血糖値が上がり栄養過多の状態になると、栄養処理器官が正常に働かなくなり生命は危険にさらされてしまいます。

これが糖尿病の原因です。

胎盤は胎児の成長を第一に考える器官です。つまり、胎児の栄養促進を促すために、ブドウ糖供給をストップさせるインスリンの働きを良くは思っていないのです。

結果、胎盤は胎児の栄養補給のみ効率のみを考え、エネルギー補給を止めさせないために行動をするのです。これが妊婦糖尿病になるメカニズムです。

通常出産後胎盤が母体の体外に排出されれば、胎盤のインスリン抑制ホルモンは母体に影響を及ぼすことがなくなるため、妊婦糖尿病は治ります。


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