サリドマイド

サリドマイドとは

サリドマイドとは、西ドイツのグリュネンタール社が「コンテルガン」の商品名で売り出された薬です。当初はてんかん患者に有効な抗てんかん薬として開発されていたのですが、抗てんかん薬としての効果は認められませんでした。

しかし、サリドマイドには催眠作用があることがわかり、睡眠薬として売り出されることになったのです。

サリドマイドは日本では妊婦のつわりや不眠症の解消目的で積極的に使われるようになりました。



ですが、サリドマイドには強烈な副作用がありました。それはサイドマイドに含まれる催奇性、つまり四肢の奇形生成の危険性が高いというものです。

サリドマイドの催奇性の報告については、1960代始めに日本の厚生省は承知していたのですが、これを『実証性がないもの』とし放置しています。このことによりサイドマイドの回収が遅れ、当時サリドマイドを含んだ睡眠薬を服用していた妊婦が奇形児を出産するという悲劇が拡大したと言われています。

被害が拡大した現状を見て、ようやくサリドマイドを含んだ薬の発売は世界的に禁止されるようになりました。

サリドマイドについての評価の兆しが見られるようになったのは、1965年ブラジルの医師がハンセン病患者に対し、鎮痛剤としてサリドマイドを投与したことから始まります。

サリドマイドを投与された患者は、ハンセン病特有の皮膚の症状に改善が認められるようになったのです。このため、今度はハンセン病治療薬としてブラジル政府はサイドマイドの販売を認めるようになりました。

その後、サリドマイドの研究が進み腫瘍壊死因子の阻害作用が発見されました。この腫瘍壊死因子の阻害作用は、癌細胞に対する抗癌作用と似たような働きをするため、抗癌物質に随する鎮静剤としての効果が期待されています。

日本でもサリドマイドが再評価されるに至り、多発性骨髄腫という難病の特効薬として研究されるようになりました。

このほかにも、エイズウイルスの増殖抑制や糖尿病性網膜症と黄斑変性症の予防などにも効果があるとして再注目されるようになっています。


サリドマイドと多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫とは造血細胞(体の血液を造る細胞)が癌化してしまい、特殊なタンパク質(Mタンパク質)を含む血液を造ってしまう病気です。Mタンパク質は体の各細胞や内臓に様々な悪影響を及ぼすタンパク質です。

多発性骨髄腫の治療方法はいくつかあり、抗がん剤治療・自家移植・同種移植などがあります。参考に各治療方法についてまとめました。

抗がん剤治療

その名の通り、抗がん剤を使った治療方法です。できてしまった造血細胞に対して、抗がん剤を投与することで治療する方法です。自家移植方法や同種移植方法が確立するまではこの方法が使われていましたが、大きな効果が得られないという事実もあります。


自家移植

造血細胞を体外に取り出し、この取り出した細胞に抗がん剤やX線治療を直接施す方法です。治療は体外で行われるわけですから、人体に直接的な影響がでる方法ではありません。がん細胞が消滅した造血細胞を体内に戻して病気の治癒を図ります。しかし、再発率が90%と高く、絶対的に効果のある治療方法とはいえません。


同種移植

患者の造血細胞を取り除き、他人の造血細胞を移植する方法です。まったく新しい造血細胞を移植するため再発率は自家移植よりも低くなりますが、拒絶反応の危険があり合併症などの症状が現れる場合があります。


サリドマイド療法は抗がん剤の治療に分類されます。しかし、現在日本ではサリドマイド治療が認可されていません。理由は多発性骨髄腫患者への適量投与や、多発性骨髄腫治療へのメカニズムが確立していないからです。

しかし、サリドマイドを投与することで多発性骨髄腫患者の鎮静作用があることは臨床実験で報告されています。臨床実験で報告されているサリドマイドの効果とは、Mタンパク質を減少される効果です。

サリドマイド自体が効きにくい患者もいますが、事例では多くの多発性骨髄腫患者のMタンパク質値が50%以上も減少したという結果があります。

ですが、これはサリドマイドが癌化した造血細胞に直接的に働きかけた結果Mタンパク質が減少したのか、それとも、サリドマイドが造血細胞が作り出したMタンパク質を直接破壊したのかはわかっていません。

どちらにせよ、臨床実験の結果として、多くの多発性骨髄腫患者の苦痛や痛みを取り除く物質であると期待されています。


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